顎関節症とは

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、顎の関節やその周囲の筋肉(咀嚼筋など)に痛みや動かしにくさが生じる疾患の総称です。
日本顎関節学会による2025年版の治療指針や厚生労働省の実態調査などのデータによると、成人の約1割にあたる推定約1,900万人が顎関節に何らかの症状を抱えているとされ、特に20〜40代の女性に多く見られる身近なトラブルです。

単なる「顎の疲れ」と軽視されがちですが、放置すると口が全く開かなくなる(開口障害)だけでなく、慢性的な頭痛や肩こり、めまいなど全身の不調に波及する恐れがあります。
症状が進行すると関節内のクッションである軟骨(関節円板)が変形し、深刻なケースに発展することもあるため、早期の診断とケアが重要です。
顎関節症の原因

顎関節症は、単一の原因で起こることは少なく、日常生活における複数の要因(多因子)が積み重なって顎の許容量を超えることで発症します。
- ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり):睡眠中の無意識な歯ぎしりや、日中にストレスや緊張から歯を強く食いしばる癖(TCH)は、顎関節と筋肉に数十キロもの異常な負荷を与え続けます。
- 不良姿勢や生活習慣:スマートフォンの長時間操作による「猫背」や「ストレートネック」、頬杖をつく癖、片側の歯ばかりで噛む(偏咀嚼)習慣は、顎のバランスを大きく崩します。
- 精神的ストレス:心理的な不安やプレッシャーは自律神経を乱し、無意識のうちに筋肉を過度に緊張させるため、顎関節へのダメージを加速させる大きな引き金となります。
症状の特徴

顎関節症の症状は、主に以下の「3大症状」として現れ、これらが単独、あるいは複合して起こるのが特徴です。
- 顎関節や筋肉の痛み:口の開け閉めや硬いものを噛んだ時に、耳の穴の前あたり(顎関節)やエラ、こめかみ周辺の筋肉に鈍痛やピリッとした痛みが走ります。
- 開口障害(口が大きく開かない):正常なら縦に指3本分ほど開く口が、痛みや関節の引っかかりによって指2本分以下しか開かなくなり、食事やあくび、会話に支障をきたします。
- 顎の異常音(関節雑音):口を開閉するたびに、耳のそばで「カクン、カクン」というクリック音や、「ジャリジャリ」「ミシミシ」といった擦過音(クレピタス音)が鳴ります。
特に「ジャリジャリ」という音が鳴り始めた段階は、関節の骨同士が直接擦れ合って変形が起きているサインの可能性が高いため、早急な対応が推奨されます。





